After the License
建設業許可は、取ったあとが本番です
許可通知書が届いた日から、毎年くり返す手続きと、会社に何か起きるたびに出す届出が始まります。このサイトは、その「許可のあと」だけを扱います。
許可業者の1年は決算日から始まります。決算日から4か月以内に決算変更届を出し、公共工事に出る会社はそのあと経営状況分析 → 経審 → 結果通知 → 入札参加資格と進みます。前の手続きが済まないと、次の手続きに進めません。このほか、役員や営業所などが変わったときの届出があり、期限は2週間・30日・4か月の3種類だけです。まず自分の会社の決算日を書き出してください。
許可を取った会社の1年——3月決算の例
いちばん多い3月31日決算の会社で、1年の手続きを並べます。経審と入札の時期は、東京都知事許可の場合の目安です(2026年9月時点)。
事業年度が終わる日です。経審ではこの日を「審査基準日」と呼び、1年の手続きはすべてここから数えます
工事経歴書・工事施工金額・財務諸表・納税証明書などを許可行政庁へ出します。期限は事業年度が終わってから4か月以内(建設業法11条2項)。公共工事に出ない会社も、毎年かならず出します(→ 決算変更届)
ここからは公共工事に出る会社だけです。財務諸表を登録経営状況分析機関に出して、経営状況の点数(Y)をもらいます。申請の時期と方法は各機関が公示します(規則19条の2)(→ 経営状況分析)
Yの結果を添えて、許可行政庁に経営規模(X・Z・W)の評価を申請し、総合評定値(P)を請求します。東京都は決算の届出を済ませてからインターネットで審査日を予約する流れです(→ 経審)
東京都知事許可の標準処理期間は22日で、閉庁日は数えません。点数はここで確定します。3月決算なら、前の年の結果で契約できる期間は10月31日ごろまでなので、それまでに通知を受け取れるように動きます
国・県・市町村などの発注者ごとに受付期間があります。東京都や神奈川県は2年ごと、大阪府は3年度ごとの定期受付です(→ 入札参加資格)
4か月以内の決算変更届は、決算日が決まれば毎年同じ日が期限です。3月決算なら7月31日、9月決算なら翌年1月31日、12月決算なら翌年4月30日。いつ来るか分からない変更届とちがって、年の初めに手帳へ書き込めます。
公共工事に出ない会社は、2の決算変更届で1年の定例の手続きは終わりです。ただし5年ごとに許可の更新があり、そのときに過去の決算変更届がそろっているかを見られます。
手続きは一本の鎖になっています
上の6つは、ばらばらの手続きではありません。前が済んでいないと、後ろが受け付けられないつながり方をしています。
| 前の手続き | 後ろの手続き | つながり方 |
|---|---|---|
| 決算変更届 | 経審 | 東京都は決算報告の変更届出書を出してから審査の予約をする流れ。大阪府は未提出なら経審を受け付けないと手引きに書いています(都道府県の運用) |
| 工事経歴書の数字 | 経審の完成工事高 | 決算変更届に書いた業種別の金額が、経審の完成工事高(X1)の元になります(→ 工事経歴書) |
| 経審の結果通知 | 入札参加資格 | 多くの発注者が、経審を受けていることを申請の条件にしています(発注者が決める要件) |
| 決算変更届(5年分) | 許可の更新 | 東京都の手引は、変更届が出ていないと更新などの申請ができないと明記しています |
つまり、いちばん上流の決算変更届が遅れると、その年の経審も入札も後ろへずれます。「誰も確認しない書類」と思われがちですが、実際は1年の入り口にあたります。
公共工事の元請契約を結ぶには、契約日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経審を受けていなければなりません(規則18条の2)。3月決算の会社なら、ある年の3月31日を基準にした経審で、おおむね翌年の10月31日までの契約に対応できます。毎年同じ時期に受けていれば、次の年の結果が間に合い、空白ができません。
届出の期限は3種類だけです
許可のあとに出す届出は、手引きの一覧表だと何十行にもなります。けれども期限の長さは3つしかありません。先に箱を3つ用意して、届出をどこかに入れると考えると迷いにくくなります。
| 期限 | おおまかに何が入るか | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 2週間以内 | 許可の要件になっている人が動いたとき。常勤役員等(手引きでいう経営業務の管理責任者等)、営業所技術者(旧称は専任技術者)、令3条使用人、社会保険の加入状況。要件を満たさなくなったときも | 法11条4項・5項、規則7条の2・8条 |
| 30日以内 | 会社の登記や看板にあたる事項が変わったとき。商号、営業所の名称・所在地、資本金、役員等、支配人、営業所技術者の氏名。廃業も30日 | 法11条1項、法12条 |
| 4か月以内 | 決算のたびに出すもの。決算変更届と、期中に変わった使用人数・令3条使用人の一覧表・定款など | 法11条2項・3項 |
このほかに、許可の更新(5年ごと。満了日の30日前までに申請)があります。一覧は届出の期限早見表にまとめました。
たとえば支店を1つ増やすと、営業所の新設は30日以内ですが、その支店長(令3条使用人)や営業所技術者の届出は2週間以内です。短いほうに合わせて動くのが基本です。
出さないと、どこで困るのか
建設業法は、届出を出さないこと自体に罰則を置いています。決算変更届や30日以内の変更届を出さなかった場合は、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法50条1項2号)。会社と、実際に違反した人の両方が対象になります(法53条)。
ただ、実務で先に効いてくるのは罰則ではありません。
- 更新や業種追加の申請ができない……東京都の手引は、変更届が未提出だと他の申請手続ができないと書いています
- 経審が受けられない……確かめた4都府県(東京・大阪・神奈川・愛知)では、いずれも決算変更届を出したことが経審の前提になっています
- 監督処分の対象になる……国土交通省の監督処分の基準は、法11条違反を指示処分の例として挙げています
5年分をためてしまうと、更新の直前に5年分の工事経歴書と財務諸表を作り直すことになります。毎年、期限内に出しておくのがいちばん手間がかかりません。くわしくは期限早見表の罰則の節で説明しています。
全国共通のことと、県ごとに違うこと
建設業の手続きを調べると、サイトや手引きによって書いてあることが少しずつ違います。原因の多くは、決まりの出どころが違うことです。このサイトでは、次の3つを分けて書きます。
| 決まりの出どころ | 例 | 全国で同じか |
|---|---|---|
| 法律・政令・省令 | 届出の期限、出す書類の種類、様式、罰則 | 全国共通 |
| 告示・通達 | 経審の点数の付け方、許可事務ガイドライン(決算変更届の表紙など) | ほぼ全国共通。改正が多いので時点に注意 |
| 都道府県の手引き・窓口の運用 | 提出部数、表紙の書式、確認資料、予約の方法、受付期間 | 行政庁ごとに違う |
違いがある所では「東京都は〜、大阪府は〜」と出典を添えます。載せているのは主に東京都・大阪府・神奈川県・愛知県の手引きです。それ以外の県の方は、自分の許可行政庁の手引きで同じ箇所を確かめてください(→ 東京・大阪・神奈川・愛知の違い)。
このサイトの記載は2026年9月時点の法令と手引きによります。令和7年6月1日から、罰則の「懲役」は「拘禁刑」に変わりました。令和6年12月には「専任技術者」が「営業所技術者」に改められています。経審は令和8年7月1日施行の改正後の内容で書いています。根拠にした資料の一覧は根拠資料にあります。
あなたが読むべきページ
立場と、いま困っていることから選んでください。
| こんな人は | まず読むページ |
|---|---|
| 決算が終わった。何をいつまでに出すか知りたい | 決算変更届(事業年度終了届)。書類の中でいちばん手間がかかる工事経歴書は工事経歴書の書き方 |
| 役員が代わった、本店を移した、支店を出した | 届出の期限早見表で期限を確かめてから、変更届 |
| 許可の有効期限が近い | 許可の更新。未提出の決算変更届がないかも確認 |
| これから公共工事に出たい | 経審 → 入札参加資格。点数の見当はP点試算と経営状況分析(Y) |
| 経審の技術者や社会保険の加点が気になる | 建設キャリアアップシステムと経審 |
| 法改正で何が変わったか知りたい | 改正建設業法(労務費の基準) |
| 手引きとネットの説明が食い違う | 東京・大阪・神奈川・愛知の違いと根拠資料 |
経理・総務をひとりで回している方へ
年に1回しか来ない手続きは、前の年のやり方を忘れがちです。決算日と、その4か月後の日付を、会社の予定表に毎年くり返す予定として入れておくだけで、出し忘れはかなり防げます。
行政書士・行政の担当になったばかりの方へ
各ページは、条文番号と手引きの名前を添えて書いています。依頼者や申請者に説明するときの根拠の確認に使ってください。