建設業許可 実務ガイド 許可のあと — 決算変更届・変更届・経審・入札

Reading the Result Notice

経審の結果通知書の見方——どの欄に何が書いてあるか

経審を受けると、A4横の通知書が届きます。数字がぎっしり並んでいて、どこを見ればよいのか迷う紙です。この記事では、紙の上から順に、何が書いてあって、入札の前にどこを確かめればよいかを整理します。

まず結論

通知書は2種類です。Yは登録経営状況分析機関から、X1・X2・Z・WとPは許可行政庁から届きます。行政庁の通知書は規則の別記様式第25号の15で、評価の申請とPの請求を一緒にすれば1枚です。P・X1・Zは業種ごとの行に、X2・W・Yは会社で1つの欄にあります。使える期間は審査基準日(決算日)から数えます。ランク(等級)は通知書には書いてありません。等級を決めるのは発注者です。

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届く通知書は2種類

経審(経営事項審査)は、審査する窓口が2つに分かれています(→ 経審とは)。そのため、結果の紙も出どころの違う2種類になります。

通知書送ってくるところ様式(建設業法施行規則)載っている点
経営状況分析結果通知書登録経営状況分析機関(民間の機関)別記様式第25号の13Y(経営状況)
経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書許可行政庁(大臣許可は地方整備局等、知事許可は都道府県)別記様式第25号の15X1・X2・Z・W、請求していればP

Yの通知書は、許可行政庁にPを請求するときに添えて出すものです(建設業法第27条の29第2項)。先に届くのはこちらで、入札の資料として使われるのは、たいてい2枚目の行政庁の通知書です。

建設業法施行規則 第19条の9・第21条の4

第19条の9「法第二十七条の二十七の通知は、別記様式第二十五号の十五による通知書により行うものとする。」
第21条の4「法第二十七条の二十九第一項及び第三項の規定による通知は、別記様式第二十五号の十五による通知書により行うものとする。」

評価の結果(X・Z・W)もPも同じ様式と決められているので、評価の申請とPの請求を同時にすれば1枚にまとまって届きます。Pを請求しなかった場合、その紙にPは入りません。

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様式第25号の15の全体図

様式はA4横の1枚です。e-Govに載っている現在の様式(令和8年2月に作られたもの)を見ると、紙は大きく5つの区画に分かれています。

場所書いてあること
上の中央表題(経営規模等評価結果通知書/総合評定値通知書)、許可番号、審査基準日、電話番号、資本金額、完成工事高/売上高(%)、行政庁記入欄
右上いつ通知したかの日付、行政庁の印
左半分の表許可の業種が縦に並ぶ。各行に総合評定値(P)、完成工事高の年平均と評点(X1)、元請完成工事高の年平均、技術職員数、評点(Z)
右の上の小さな表自己資本額と利益額、その評点(X2)
右側の縦長の表社会性等の各項目の「数値等」と「点数」、最下段に評点(W)
左下「(参考)」決算の数字(固定資産、売上高、営業キャッシュフローの当期・前期など)、経営状況の8指標、評点(Y)

出典:建設業法施行規則 別記様式第25号の15(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014 、2026年9月23日確認)。金額の欄の単位は、様式の右下にあるとおり千円です。

最初に見るのは3か所

①上の審査基準日、②左半分の表で自分が入札に出たい業種の行、③その行のP。細かい内訳は、そのあとで十分です。

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左半分の表——業種ごとのP・X1・Z

左半分の表は、建設業の許可の業種が1行ずつ並んでいます。土木一式から解体まで29業種の行があり、経審を受けた業種の行に数字が入ります。

業種の行の中の、細かい行

いくつかの業種には、1段下げた行があります。様式では、土木一式の下に「プレストレストコンクリート構造物」、とび・土工・コンクリートの下に「法面処理」、鋼構造物の下に「鋼橋上部」が置かれています。国の通達(経営事項審査の事務取扱い)が、この3つの業種については内訳としてこれらの工事も審査すると定めているためです。上の業種の数字の一部を取り出したもの、と読みます。

1行の中の並び

列の見出し中身
総合評定値(P)その業種のP。入札参加資格で使われるのはふつうこの数字
完成工事高 年平均・評点(X1)その業種の年間平均完成工事高(2年平均か3年平均)と、それを点にしたもの
元請完成工事高 年平均その業種で元請として完成させた工事の年平均。Zの計算に使います
技術職員数「一級」「(講習受講)」「監理補佐」「基幹」「二級」「その他」の人数
評点(Z)技術職員と元請完成工事高から出た、その業種の技術力の点

技術職員数の6つの欄は、係数の区分そのもの

技術職員数の欄は、Zを出すときの係数の区分と1対1になっています。国の通達(経営事項審査の事務取扱い)では、一級で監理技術者資格者証と講習がそろった人が6、それ以外の一級が5、監理技術者補佐が4、登録基幹技能者・CCUSレベル4が3、二級(CCUSレベル3を含む)が2、その他が1です。どの資格がどこに入るかは 経審で点になる資格の一覧 にまとめました。

業種の人数を足すと、社員数より多くなることがあります

1人の技術職員は2つの業種まで名簿に載せられます(事務取扱い)。そのため、業種ごとの人数を全部足すと、実際の技術職員の人数を上回ることがあります。誤りではありません。

X1とZが業種ごとに違うので、Pも業種ごとに違います。「うちの会社のP」ではなく「管工事のP」「舗装工事のP」と、業種とセットで読んでください。

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右と下の欄——X2・W・Y

左半分の表と違い、右側と左下の欄は会社全体で1つの数字です。どの業種のPを計算するときも、同じ値が使われます。

X2(自己資本額と利益額)

右上の小さな表です。自己資本額と利益額(利払前税引前償却前利益)の数値と点数が並び、その下に2つをまとめた評点(X2)があります。

W(その他の審査項目=社会性等)

右側の縦長の表は、上から次の順に並んでいます。

  • 担い手の育成・確保……建設業退職金共済、退職一時金・企業年金、法定外労災補償、若手技術職員の継続的な育成・確保、新規若年技術職員、CPD単位取得数と技術者数、技能レベル向上者数と技能者数・控除対象者数、女性活躍推進法・次世代育成支援法・若者雇用促進法の認定、就業履歴の蓄積(CCUS)、建設技能者を大切にする企業の自主宣言
  • 営業継続の状況……営業年数、民事再生法・会社更生法の適用の有無
  • 防災活動への貢献……防災協定の締結の有無
  • 法令遵守……営業停止処分・指示処分の有無
  • 経理の状況……監査の受審状況、公認会計士等の数、二級登録経理試験合格者の数
  • 研究開発建設機械の所有及びリース台数エコアクション21、ISO9001、ISO14001

各行の「数値等」は申請で出した内容、「点数」はそれを告示の区分に当てはめた点です。最後の評点(W)は、点数の合計を国の式で換算した数字です。項目ごとの点数は P点試算 のW欄と同じ並びなので、見くらべると内訳がわかります。

Y(参考欄)

左下の「(参考)」には、決算の数字と、経営状況の8つの指標(純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフロー、利益剰余金)と評点(Y)が載ります。Yを出したのは分析機関で、行政庁の通知書には参考として写されているだけです。Yの中身は 経営状況分析(Y)の解説 で扱っています。

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審査基準日と「使える期間」

上の欄の審査基準日は、その経審がどの決算をもとにしているかを示す日です。国の通達は、申請する日の直前の事業年度の終了の日、と定めています(経営事項審査の事務取扱い)。3月決算の会社なら、ふつうは3月31日が入ります。

建設業法施行規則 第18条の2

「法第二十七条の二十三第一項の建設業者は、同項の建設工事について発注者と請負契約を締結する日の一年七月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければならない。」

この条文から、実務では「審査基準日から1年7か月」の間に結ばれる公共工事の契約にその通知書が使える、と整理されています。通知書そのものには期限の日付は書かれていないので、審査基準日を見て自分で数えることになります。

通知書の審査基準日契約に使える目安の終わり
令和8年3月31日令和9年10月31日ごろ
令和7年12月31日令和9年7月31日ごろ(東京都の説明書の図と同じ数え方)
  • 数え始めは通知書が届いた日ではなく審査基準日です。審査に時間がかかった分だけ、使える期間は短くなります
  • 大阪府・神奈川県の手引きは、契約できるのは結果通知書を受け取った後で、かつ審査基準日から1年7か月の間、と書いています
  • 次の決算の経審結果が、決算日から7か月以内に届けば切れ目なくつながります。数え方の詳しい話は 経審とは の「1年7か月」の節にあります
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点数の幅と、ランク(等級)の関係

届いた点数が高いのか低いのかを判断するには、まず各点の幅を知っておくと読みやすくなります。令和8年7月1日以降の申請に使われる最高点と最低点は次のとおりです(出典は国土交通省の改正資料「経営事項審査の主な改正事項」の令和8年7月1日施行分)。

項目上限下限Pでの重み
X12,3093970.25
X22,2804540.15
Y1,59500.2
Z2,4414560.25
W2,073▲7880.15
P2,159163

Yの読み方の目安

Yは、8つの指標を合成した値AからY=167.3×A+583で出します(事務取扱い)。つまりAがちょうど0のときYは583です。583を上回っていれば、8指標の合計がプラスに働いている、と読めます。どの指標が足を引っ張っているかは、参考欄の8指標を見くらべてください。

Pの読み方の目安

Pは5つの評点に重みを掛けて足した数です。X1とZの重みが0.25と大きいので、同じ会社でも、完成工事高と技術職員が多い業種ほどPは高く出ます。業種の間でPに差があるときは、その業種の行のX1とZを見れば理由がわかります。数字を入れ替えて試したいときは P点試算 を使ってください。

ランク(等級)は通知書には書いてありません

「A等級」「Bランク」といった格付けは、経審ではなく、発注者ごとの入札参加資格審査で決まります。建設業情報管理センターも、発注機関が客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け・格付けを行うと説明しています。経審の点数は、その客観的事項の部分に使われる材料です。

  • 等級の区切りの点数、発注金額との対応は発注者ごと・業種ごとに違います
  • 経審の点数に、発注者が独自の点(工事成績や地域貢献などの主観点数)を足す自治体もあります
  • 同じPでも、発注者が変われば等級が変わることがあります

自分がどの等級になりそうかは、入札に出たい発注者の要綱や手引きで確かめます。流れは 入札参加資格の取り方 を見てください。

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令和8年7月以降の様式で変わったところ

令和8年7月1日から、W(社会性等)の審査項目が変わりました。これに合わせて、e-Govに載っている様式第25号の15も改められています。改正の前後で通知書を並べると、次の違いが目に入ります。

Wの欄改正前の通知書改正後の通知書
雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入の有無行があり、未加入は減点行がない(審査項目から削除)
建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無行が新しく入った(宣言ありで5点)
就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(CCUS)最大15点行は残り、点数が最大10点に
建設機械の所有及びリース台数9機種で数える行は同じ。数える機種に不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャが加わった

去年の通知書とくらべてWが変わっていたら、まずこの4つの行を確かめてください。社会保険の行がなくなったのは、令和2年10月から社会保険への加入が許可の要件になったためで、加入しなくてよくなったわけではありません。改正の中身は 経審とは の改正の節と 建設キャリアアップシステムと経審 でも扱っています。

審査基準日が改正前でも、申請が7月1日以降なら新しい基準

点数表の改正は申請の時期で適用が決まります。3月決算の会社が令和8年7月以降に申請した経審は、改正後の基準で審査されています。前年の結果とそのまま比べるときは、この違いを差し引いて見てください。

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届いたらすぐ確かめること

  • 業種が全部あるか……申請した業種の行に数字が入っているか。入札に出たい業種が抜けていないか
  • 技術職員の人数……業種ごとの人数と区分が、申請した技術職員名簿と合っているか
  • Wの各行……加点を申請した項目(建退共、防災協定、ISOなど)に点が入っているか
  • 審査基準日……申請した決算の日になっているか

誤りを見つけたら、30日以内

経営規模等評価の結果に不服があるときは、通知を受けた日から30日以内に許可行政庁へ再審査を申し立てられます(建設業法施行規則第20条)。ただし、Yの分析結果は対象外です。国土交通省東北地方整備局の手引きは、申請者自身の記入漏れや確認書類の不足によるものは再審査の対象にならない、としています。

原本は再発行されません

東京都・大阪府・神奈川県・愛知県の手引きは、どれも結果通知書を再発行しないと書いています。入札の申請には写しを使い、原本は保管します。なくした場合の手当ては行政庁で違い、愛知県は建設業情報管理センターの公表サイトから公表されている写しを取り出す方法を案内し、大阪府・神奈川県は証明書を出す手続きを設けています。公表サイトの使い方は 他社の経審の点数を調べる方法 で説明しています。

通知書の内容は公表されます

行政庁は、結果通知書と同じ内容をインターネットで公表しています。取引先や同業者も見られる、という前提で数字を扱ってください。

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よくある質問

通知書にPが載っていません。
経営規模等評価の申請だけをして、総合評定値(P)を請求しなかった可能性があります。Pは請求したときにだけ通知されます(建設業法第27条の29第1項)。入札参加資格の申請でPを求める発注者が多いので(要件は各発注者の要綱で確認)、次の経審では評価の申請とPの請求を同時に行ってください。
Yの数字が2枚の通知書で同じです。どちらが正式ですか。
Yを算出して通知したのは登録経営状況分析機関です。許可行政庁の通知書のYは、Pの計算に使った値を参考として載せたものです。同じ決算なら同じ値になります。
完成工事高/売上高(%)の欄は何を表していますか。
欄の名前のとおり、完成工事高を売上高と比べた割合です。建設業以外の売上が多い会社ほど小さい数字になります。
通知書に「有効期限」の日付がありません。
様式に期限を書く欄はありません。規則第18条の2は、契約を結ぶ日から逆に数えて、どの決算以降の経審を受けていればよいかを決めています。審査基準日から1年7か月を目安に、自分で日付を出してください。
この点数で、うちは何ランクになりますか。
通知書だけでは決まりません。等級は、入札に出たい発注者(国の機関、県、市町村など)が、それぞれの基準で決めます。発注者の入札参加資格の要綱で、業種ごとの点数の区切りを確かめてください。
去年よりPが下がりました。どこから見ればよいですか。
まず業種の行のX1とZ、次に会社で1つのX2・Y・Wを、前年の通知書と1つずつ並べます。Pへの重みはX1とZが0.25、Yが0.2、X2とWが0.15です。差の大きい評点に重みを掛けると、どこが効いたかがわかります。

数字の意味や、次の経審に向けて何を直せばよいかで迷うときは、経審を扱っている行政書士や税理士に通知書を見てもらうのも一つの方法です。