Construction Career Up System
建設キャリアアップシステム(CCUS)と経審——点数に効くのは4か所です
CCUSは「技能者のためのカード」と思われがちですが、会社の経審の点数にも直接つながっています。登録の費用と、経審で何点になるかを先に押さえてください。
CCUSは、技能者の資格と現場での就業履歴を登録してためていく仕組みで、運営は一般財団法人建設業振興基金です。経審(経営事項審査)では、令和8年7月1日以降、元請で請けた工事で就業履歴をためる措置をとるとW(社会性等)に10点または5点、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」をするとさらに5点が付きます。能力評価でレベル4の技能者は技術職員数値で係数3、レベル3は係数2として数えられます。技能者のレベルが上がれば、Wの「知識・技能の向上」の項目にも効きます。
結論——CCUSが経審に効く4か所
経審の点数表のうち、CCUSと関係があるのは次の4か所です。点数は令和8年7月1日施行の改正後の告示と事務取扱い通達によります。
| どこ | 何をすると | 点数・扱い |
|---|---|---|
| W 就業履歴の蓄積 | 元請で請けた工事でCCUSの現場登録をし、就業履歴がたまる体制を整える | 全ての建設工事で実施=10点/全ての公共工事で実施=5点 |
| W 自主宣言制度 | 国土交通省の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」をして誓約書を出す | 宣言あり=5点(新設) |
| Z 技術職員数値 | 能力評価でレベル4・レベル3と判定された技能者を雇っている | レベル4=係数3/レベル3=係数2 |
| W 知識・技能の向上 | 直近3年で技能者のレベルが上がった | レベルが上がった人の割合で0〜10の数値 |
Wは、項目ごとの点数を足した合計に10を掛け、さらに175/200を掛けて評点にします(事務取扱い通達 別紙4)。つまり素点1点はW評点で8.75点分です。Wは総合評定値Pの15%を占めるので、就業履歴の10点は、P点に直すとおおよそ13点前後の差になります(端数処理があるので目安です)。試算は P点試算 で確かめられます。
経審全体の組み立ては 経審のページ にまとめています。
CCUSとは何か——運営と仕組み
建設キャリアアップシステム(略してCCUS)は、技能者一人ひとりについて、持っている資格と、どの現場で何日働いたか(就業履歴)を記録していく全国共通のデータベースです。運営しているのは一般財団法人建設業振興基金で、国土交通省が制度づくりを後押ししています。
- 技能者の側……勤め先や現場が変わっても、経験と資格が1か所に残ります。それをもとに能力評価(レベル判定)を受けられます
- 事業者の側……自社の技能者の情報や、現場に入った人の記録を管理できます。元請が現場を登録し、技能者が入場するたびに履歴がたまる流れです
- 行政の側……経審の加点や、公共工事での評価(発注者によって扱いが違います)の材料になります
「建設キャリアアップシステム(一般財団法人建設業振興基金が提供するサービスであって、当該サービスを利用する工事現場における建設工事の施工に従事する者や建設業を営む者に関する情報を登録し、又は蓄積し、これらの情報について当該サービスを利用する者の利用に供するものをいう。)」
出典:建設業振興基金「CCUSについて」 https://www.ccus.jp/p/about(2026年9月23日確認)。
登録は2種類——技能者と事業者(料金は2026年9月時点)
CCUSには技能者登録と事業者登録の2つがあり、別々に申し込みます。会社が経審で加点を取るには事業者登録が前提で、誓約書にもCCUSの事業者IDを書く欄があります。
かかる費用(税込・2026年9月23日に公式サイトで確認)
| 費目 | 金額 | 中身 |
|---|---|---|
| 技能者登録料 | インターネット申請:簡略型 2,500円/詳細型 4,900円 | カードの有効期間は、発行から9年を過ぎた最初の誕生日まで(申請時60歳以上は14年目、本人確認書類の未提出者は2年目の誕生日まで)。紛失などの再発行は1,000円 |
| 事業者登録料 | 一人親方 0円、資本金500万円未満(個人事業主を含む)6,000円、1,000万円以上2,000万円未満 24,000円 …… 500億円以上 2,400,000円 | 資本金の額で決まります。有効期間は5年 |
| 管理者ID利用料 | 1IDにつき 年11,400円(一人親方は2,400円) | 毎年かかります。現場管理者として登録したIDにはかかりません |
| 現場利用料 | 1人日・1現場につき 10円 | 現場を登録した元請が払います。20人が50日入れば1万円 |
建設業振興基金は2026年9月10日、簡略型の受付を2027年3月31日で終え、4月1日からは詳細型に一本化すると告知しました。あわせて技能者登録料は、当面4,000円〜4,500円程度への引き下げを想定とし、新しい料金は2026年12月ごろに改めて案内するとしています。2027年以降に申し込む人は、その時点の料金を公式サイトで確かめてください。なお、能力評価を申請できるのは詳細型で登録した人だけです。
出典:建設業振興基金「CCUSについて(システムの利用料金)」 https://www.ccus.jp/p/about /「技能者登録方式の詳細型一本化に関するお知らせ」(2026年9月10日) https://www.ccus.jp/attachments/show/6aa2318d-2e54-4d69-96c5-4c016fabc532(いずれも2026年9月23日確認)。
レベル1〜4と能力評価
CCUSにたまった就業日数と資格をもとに、職種ごとの団体が技能者を4段階に判定します。これが建設技能者の能力評価制度で、国土交通大臣の告示(平成31年国土交通省告示第460号)に基づいています。レベルに応じて色の違うカードが交付されます。
| レベル | 目安(国土交通省の申請の手引き) |
|---|---|
| レベル1 | 初級技能者(見習い) |
| レベル2 | 中堅技能者(一人前) |
| レベル3 | 職長として現場に従事できる技能者 |
| レベル4 | 高度なマネジメント能力を持つ技能者(登録基幹技能者など) |
何で判定されるか
- 就業日数……CCUSにたまった日数。職種のコードごとに数えます
- 保有資格……資格のほか、講習・研修・表彰も含みます
- 職長・班長としての日数……現場の作業員名簿に「職長」「班長」の立場で登録された日数
CCUSを使い始める前(令和6年3月31日以前)の経験は、勤め先などの経歴証明で補える経過措置があります。この措置が使えるのは令和11年3月31日までの申請です。
能力評価基準は50分野(令和8年8月に「型枠解体」が加わった時点)。判定件数は令和8年6月30日現在でレベル4が68,952件、レベル3が48,724件、レベル2が55,251件です。振興基金に払う能力評価の申請手数料(4,000円。技能者登録と同時に申し込むワンストップ申請は3,000円)は、2025年8月1日から全額支援されており、2026年4月1日からは当面のあいだ延長されています(詳細型登録ずみの人が対象)。
出典:国土交通省「【CCUSポータル】能力評価制度について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000040.html /「建設技能者の能力評価制度における申請の手引き」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/ccus_nouryokuhyouka_tebiki.pdf /建設業振興基金「能力評価申請手数料の全額支援」 https://www.ccus.jp/attachments/show/69ca31ac-d3dc-4e36-8115-416a6fabc532(いずれも2026年9月23日確認)。
経審W:就業履歴の蓄積(10点/5点)
ここは元請としての実績で決まる項目です。審査基準日前の1年間に発注者から直接請けた工事で、CCUSを使っていたかを見ます。
| 区分 | 点数(令和8年7月1日以降) | 改正前 |
|---|---|---|
| 全ての建設工事で実施(民間工事を含む) | 10点 | 15点 |
| 全ての公共工事で実施 | 5点 | 10点 |
| 該当なし | 0点 | 0点 |
「措置を実施した」と言える条件
- CCUSで現場・契約情報を作って登録していること
- 技能者が自分で手入力しなくても就業履歴がCCUSにたまる体制を整えていること
- 対象は、軽微な建設工事と防災協定などに基づく災害応急対策を除いた工事の「全て」。1件でも抜けると、その区分には当たりません
- 別記様式第6号の誓約書(CCUSの事業者IDを書き、許可行政庁・振興基金との情報共有に同意するもの)を出すこと
通達は、審査基準日前1年間に対象の工事を1件も元請で請けていない場合は加点しないと明記しています。下請中心の会社は、この項目ではなく自主宣言(次の節)と技術職員数値で考えるのが現実的です。
「建設キャリアアップシステム……における現場契約情報の作成及び登録を実施しており、かつ、建設工事に従事する者が建設キャリアアップシステムへの直接入力によらない方法で建設キャリアアップシステム上に就業履歴を蓄積できる体制を整備することをいう。」
誓約書の添付資料や確認のしかたは、許可行政庁の経審の手引きで決まっています。都県ごとの違いは 東京・大阪・神奈川・愛知の違い で確かめてください。
経審W:自主宣言制度(5点)
建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度(愛称「職人いきいき宣言」)は、国土交通省が運営する制度です。技能者の処遇をよくする取り組みを、会社が自分で宣言して公表します。令和8年7月1日から、宣言していると経審のWで5点になりました。
加点の条件
- 審査基準日の時点で、元請事業者または下請事業者の立場で宣言していること(審査基準日が宣言日以降であること)
- 別記様式第7号の誓約書を出すこと(事務取扱い通達)。国土交通省の改正概要や府県の手引きでは、あわせて宣言書の提出も挙げられています。誓約書には審査基準日と取組開始日を書き、「取組開始日以降に行う」か「すでに行っている」かを選びます
通達は、誓約書を出したのに取組開始日を過ぎても宣言した取り組みを行っていない場合は、虚偽申請として建設業法違反のおそれがあるとしています。宣言の中身は、実際にできることに絞ってください。
宣言の中身の例(ポータルサイトの例示)
- 共通……宣言企業との取引を優先する、CCUSを使える環境を整える、会社独自の取り組み
- 元請・発注者……適切な工期・労務費での取引
- 下請……技能レベルに応じた手当や賃金、月給制、週休2日制
申請はポータルサイトから行います。2026年9月23日の閲覧時点で、宣言企業は6,751社と表示されていました。
出典:国土交通省「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」ポータルサイト https://jishusengen.mlit.go.jp/ /国土交通省「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度について」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk2_000001_00045.html(いずれも2026年9月23日確認)。
経審Z:レベル4は係数3、レベル3は係数2
技術力の評点Zのうち、技術職員数値は、職員一人ひとりに資格の区分ごとの係数をかけて足し上げます。能力評価のレベルは、ここで国家資格と並んで数えられます。
| 係数 | 主な区分 |
|---|---|
| 6 | 一級の技術者で、監理技術者資格者証があり講習も有効な人 |
| 5 | 上以外の一級の技術者 |
| 4 | 監理技術者補佐(一級の技士補など) |
| 3 | 登録基幹技能者、能力評価レベル4の技能者 |
| 2 | 二級の技術者など、能力評価レベル3の技能者 |
| 1 | 実務経験などで営業所技術者の要件を満たす人 |
- 一人はいちばん高い区分で数えます。一級の資格もある人をレベル4として数えることはありません
- 審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用があり、期間を限らずに常時雇われていることが条件です(常勤役員を含む)
- 1人が技術職員として申請できる業種は2つまでです
- レベル3・4をどの業種に数えるかは、能力評価基準ごとに通達の別紙で決まっています(例:電気工事技能者→電気・電気通信、橋梁技能者→とび・土工・鋼構造物、造園技能者→造園、コンクリート圧送技能者→とび・土工)
国家資格が無くても、職長クラスの技能者をレベル3にすれば、二級の資格者と同じ係数になります。技術職員の少ない専門工事の会社ほど、差が出やすいところです。
経審W:技能レベル向上者の割合
Wの「知識及び技術又は技能の向上」は、技術者のCPD(継続学習)単位と、技能者のレベルアップの2つを、技術者数と技能者数に応じて合わせて0〜10点にする項目です。技能者側で数えるのが技能レベル向上者です。
審査基準日前3年間に受けた評価が、3年前の日以前の最新の評価より1段以上上になった技能者の数
技能者の数から、3年前の日以前にすでに最上位(レベル4)だった人を除いた数
割合が1.5%ごとに1段上がり、1.5%未満で0、15%以上で10
告示は、能力評価を受けていない人をいちばん低い区分として審査するとしています。ですから、評価を受けたことのない技能者が初めてレベル2の判定を受ければ、それだけで「1段上がった」人として数えられます。手数料の全額支援が続いているうちに申請を進めるのが近道です。