Prefectural Differences
東京・大阪・神奈川・愛知——同じ手続きでも、ここが違う
建設業許可の手続きは、法律は全国共通でも、受付の方法や日数は許可行政庁ごとに違います。許可業者数の多い4都府県(全国の約3割)の手引きを並べて、違いが出る場所を一覧にしました。
全国共通なのは法令で決まっている期限(決算変更届4か月・変更届30日/2週間・更新は満了30日前まで・経審の1年7か月)だけです。経審の受付の方法、結果通知までの日数、更新の受付開始、添付書類は行政庁ごとに違います。とくに経審は4都府県で受付の仕組みが4通りあり、同じ「22日」でも東京都は閉庁日を数えず、大阪府は土日祝も数えます。入札参加資格の有効期間も東京都・神奈川県は2年、大阪府は3年度です(2026年9月時点)。
比較表——経審の受付と結果通知
経営事項審査(経審)の申請の時期と方法は、施行規則19条の6第1項により許可行政庁が定めて公示することになっています。そのため、受付の仕組みは行政庁ごとにまったく違います。
| 項目 | 東京都 | 大阪府 | 神奈川県 | 愛知県 |
|---|---|---|---|---|
| 受付の方法 | 予約制。インターネットの予約システムで審査日を取る(2か月先まで)。電子申請なら予約なし | 予約制。FAXか申請会場の予約簿で予約(電話は不可)。申請日の2か月前から2開庁日前まで。当日・前日の予約は不可 | 受付日が決まっている。所定の受付日に神奈川県住宅供給公社ビル6階の審査会場へ。郵送は令和6年7月31日で廃止。電子申請も可 | 予約制。決算の届出(事業年度終了届出書)を出すときに予約し、翌月に審査。持参のほか郵送・投函・電子申請も可 |
| 結果通知まで | 22日(閉庁日を含まない。標準処理期間) | 22日程度(土日・祝日を含む。年末年始の閉庁日と大型連休は除く) | 収受日から35日程度(神奈川県ホームページ) | 審査の翌月末に発送 |
| 決算の届出とのつながり | 決算の届出を済ませたあとで審査日を予約 | 決算変更届を済ませてから予約。未提出なら受付できない | 審査対象年度の決算変更届の写し(収受印のあるもの)を添付 | 決算の届出と同時に予約 |
| 経営状況分析の結果通知書 | 審査当日に原本が必要。無ければ審査中止 | 原本を添付(受領してから予約する流れ) | 無いと総合評定値(P)を請求できない | (4都府県共通:経営状況分析は登録経営状況分析機関に別に申請) |
| 手数料(1業種) | 11,000円 | 11,000円(10,400円+600円) | 11,000円 | 11,000円(10,400円+600円) |
出典:東京都都市整備局『経営事項審査申請説明書』令和8年9月版/大阪府『経営事項審査申請の手引き』令和8年7月改訂版/神奈川県『経営事項審査の手引き』令和8年4月1日版・神奈川県ホームページ「経営事項審査」(受付日・35日程度)/愛知県『経営事項審査申請等の手引』令和8年7月・「令和8年度経営事項審査受付日程について」。
手数料は4都府県とも1業種11,000円(経営規模等評価10,400円+総合評定値600円)でそろっています。大臣が行う経審の手数料は施行令46条が定めており(経営規模等評価8,100円+1業種ごとに2,300円、総合評定値400円+1業種ごとに200円=1業種なら10,400円+600円)、知事が行う経審の手数料は各都道府県の条例で定められています。経審の全体像は経審のページをご覧ください。
「22日」の数え方が違う
東京都と大阪府は、どちらも結果通知までを「22日」と書いています。ところが数え方が違います。
| 東京都 | 大阪府 | |
|---|---|---|
| 書き方 | 標準処理期間は22日(閉庁日を含まない) | 補正が済んだ日を起点に、土日・祝日も数えて22日程度で発送(年末年始の閉庁日と大型連休は除く) |
| 実際の長さの目安 | 開庁日で22日=土日祝をはさむとひと月あまり | 暦の上で22日=おおむね3週間 |
東京都知事許可業者の結果通知書の交付に要する標準処理期間は、22日(閉庁日を含まない。)です。
経営事項審査の結果通知書は、申請書を受理し、補正が解消された日から土日・祝日を含む 22 日程度で発送することとしています。
数字だけを見て「東京も大阪も同じ」と考えると、東京都では1週間以上の読み違いになりえます。経審の結果通知は、前の年の結果の使える期間(審査基準日から1年7か月)が切れる前に受け取る必要があるので、この差は入札の予定に直結します。
受付の仕組みごとの逆算——3月決算の例
3月決算の会社なら、前の年の経審の結果が使えるのは10月31日ごろまでです(施行規則18条の2の1年7か月)。それまでに新しい結果通知を受け取るための逆算は、受付の仕組みで変わります。
| 行政庁 | 組み立て方 |
|---|---|
| 東京都 | 7月末までに決算変更届 → 7〜8月に審査日を予約 → 9月の終わりごろまでに審査(通知まで22開庁日) |
| 大阪府 | 決算変更届を済ませて予約 → 10月初めごろまでに審査(通知まで暦で22日程度) |
| 神奈川県 | 決算が確定したら経営状況分析から → 9月下旬ごろまでに受付(通知まで35日程度) |
| 愛知県 | 7月中に決算の届出と予約 → 8月上旬〜中旬に審査 → 9月末に発送。届出が8月にずれると審査は9月、発送は10月末で、期限とほぼ同じになる |
愛知県の手引きは「予約申し出月に審査を受けることは出来ません」としています。決算の届出を出した月の翌月に審査、その翌月末に発送という流れなので、法定期限(決算後4か月)ぎりぎりに届出をすると、余裕は1か月ほどしか残りません。
どの行政庁でも、決算変更届の「4か月以内」は上限であって目安ではありません。決算から経審・入札までの流れは決算変更届と期限の早見表もあわせてご覧ください。
許可・変更届・更新の違い
許可や届出の側にも、行政庁ごとの違いがあります。ここでは東京都と大阪府を中心に、手引きの原文で確かめられたものを並べます。
| 項目 | 東京都 | 大阪府 | 神奈川県 |
|---|---|---|---|
| 更新の受付開始 | 満了日の2か月前から | 満了日の3か月前から | 未確認 |
| 更新・新規の手数料 | 更新5万円/新規9万円 | 更新5万円/新規9万円 | 未確認 |
| 届出が未提出のときの更新 | 変更届が出ていないと更新などの申請ができない | 申請できなくなるとしつつ、郵送の更新申請なら未完了の届出を同時に出せる | 未確認 |
| 変更届の手引き | 許可と同じ冊子に、No.付きの一覧表 | 許可とは別冊。章立てが「14日以内/30日以内/4か月以内」 | 許可の手引きの第3章に一覧表 |
| 変更届の表紙 | 様式第22号の2から | 府独自の「変更届の表紙」を付ける | ― |
| 電話番号の変更 | 30日以内の変更届(番号の分かる資料を提示) | 30日以内の変更届(確認書類は不要) | 30日以内の変更届(電話番号・郵便番号だけなら添付不要) |
| 登記上の本店所在地だけの変更 | 届出が必要 | ― | 事実上の所在地と異なる場合は届出不要 |
「未確認」「―」は、このサイトで手引きの原文にあたって確かめていない項目です。愛知県は経審の比較にだけ使い、許可・届出の手引きは照合していません。
入札参加資格の有効期間と定期受付
入札参加資格は、許可行政庁ではなく発注者(都道府県・市町村など)が決めるものです。有効期間の長さも受付の時期も、発注者ごとに違います。
| 発注者 | 有効期間 | 次の定期受付(2026年9月時点の公表) |
|---|---|---|
| 東京都 | 2年(令和9・10年度) | 建設工事等は令和8年11月下旬からを予定(東京都電子調達システム) |
| 大阪府 | 3年度(令和9・10・11年度) | 令和8年11月13日〜12月11日、電子申請のみ(大阪府、2026年8月7日公表) |
| 神奈川県 | 2年(西暦奇数年の4月から) | かながわ電子入札共同システムで、県・県内31市町村・広域水道企業団の33団体に一括申請できる。令和9・10年度の時期は今後の告知 |
入札参加資格が2年や3年度あっても、経審の結果が切れていれば公共工事の請負契約は結べません。起点も長さも違う2つの期間を、別々に管理してください(→ 入札参加資格の取り方)。
手引きの名前と版(2026年9月時点)
同じ内容でも、行政庁によって冊子の名前が「手引」「手引き」「説明書」と違います。検索するときの手がかりにしてください。
| 行政庁 | 許可・届出 | 経審 |
|---|---|---|
| 東京都 | 『建設業許可申請・変更の手引』令和8年度 | 『経営事項審査申請説明書』令和8年9月 |
| 大阪府 | 『建設業許可申請の手引き』令和8年3月改定版/『建設業許可変更等届出の手引き』令和8年3月改定版 | 『経営事項審査申請の手引き』令和8年7月改訂版 |
| 神奈川県 | 『建設業許可申請の手引き』令和8年度版 | 『経営事項審査の手引き』令和8年4月1日版 |
| 愛知県 | (このサイトでは未照合) | 『経営事項審査申請等の手引』令和8年7月/「令和8年度経営事項審査受付日程について」 |
手引きは毎年のように改訂されます。必ずその行政庁のホームページから最新版を取り直してください。解説サイトの要約ではなく原本で確かめるのが確実です。資料の一覧は根拠にした法令・通達・手引きにまとめています。
全国共通(法令)と行政庁ごと(運用)の見分け方
手引きの一文が全国共通なのか、その行政庁だけの決まりなのかは、次の手順でほぼ見分けられます。
「法第11条第1項」「規則第5条」などが添えてあれば法令です。全国共通なので、e-Gov法令検索で原文を確かめられます
「建設業許可事務ガイドライン【第11条関係】」「経営事項審査の事務取扱いについて」などは国土交通省の通達です。大臣許可には直接効き、都道府県もたいてい同じ扱いをしていますが、県を縛る決め手にはなりません
部数、受付時間、予約の方法、写真の撮り方、証明書の有効期限などです。ほかの県では違う可能性があると考えてください
行政庁ごとに違いが出る3つの理由
| 理由 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 法令が任せている | 条文自体が「知事の定める」「公示する」と書いている。違って当然の場所 | 届出の部数(規則11条が準用する規則6条2号)、経審の申請の時期と方法(規則19条の6第1項) |
| 法令に書いていない | 法令に定めがなく、通達や行政庁の運用で埋めている | 営業所の写真、常勤性の確認資料、結果通知までの日数の数え方。電話番号の変更届も、法・規則の本文には無く、様式の記載要領が想定しているだけで、届け出させるかや添付の要否は行政庁の運用 |
| 決めているのが別の機関 | そもそも許可行政庁の担当ではない | 経営状況分析(登録経営状況分析機関)、入札参加資格(発注者) |
窓口で聞くときも、この区別が役に立ちます。法令や通達が根拠なら「根拠は何ですか」と聞けますが、運用なら「御県では何部ですか」のように中身を聞くほうが早く答えが返ってきます。