建設業許可 実務ガイド 許可のあと — 決算変更届・変更届・経審・入札

Bid Qualification

入札参加資格審査(指名願い)の取り方——経審の結果を「使える形」にする

経審の結果通知書が届いても、それだけでは入札のボタンは押せません。発注者ごとに、もう一つ審査を受けて名簿に載る必要があります。順番と、発注者ごとの違いを整理します。

まず結論

公共工事の入札に出るには、経審(→ P点)を受けたうえで、発注者ごとの入札参加資格審査を受けます。国・県・市町村はそれぞれ別の手続きで、受付の時期も資格の年数も発注者が決めます。2026年9月時点で、東京都は令和9・10年度(2年)の定期受付を令和8年11月下旬から予定大阪府は令和9・10・11年度(3年度)神奈川県は2年で33団体に一括申請できます。資格が2年あっても、経審の結果は毎年つないでおかないと契約できません

01

経審だけでは入札できません

公共工事を元請で受けるまでには、段階が3つあります。

1
建設業許可と、毎年の決算変更届
許可を受けている業種でしか経審も入札も受けられません(→ 決算変更届
2
経営事項審査(経審)を受け、P(総合評定値)まで請求する
Yは登録経営状況分析機関、X・Z・Wは許可行政庁(→ 経審とは
3
入りたい発注者ごとに、入札参加資格審査を申請する
通ると、その発注者の有資格者名簿に載り、入札に参加できるようになります

3の手続きは、現場では「指名願い」とも呼ばれます。神奈川県の経審の手引きも、入札に参加するには経審とは別に各発注者の入札参加資格の認定を事前に受けておく必要があると書いています。

多くの発注者が「Pを持っていること」を条件にしています

東京都の経審の説明書も神奈川県の手引きも、国や多くの地方公共団体が入札参加資格の審査で総合評定値(P)を持っていることを条件にしていると注意しています。経審を受けるときは、評価の申請だけでなくPの請求も一緒にしておきましょう。

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根拠は地方自治法——だから発注者ごとに別

建設業許可や経審は建設業法の手続きでしたが、自治体の入札参加資格は地方自治法施行令にもとづく手続きです。

地方自治法施行令 第167条の5 第1項

「普通地方公共団体の長は、……必要があるときは、一般競争入札に参加する者に必要な資格として、あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格を定めることができる。」

地方自治法施行令 第167条の11 第2項(指名競争入札)

「……指名競争入札に参加する者に必要な資格として、……あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、第百六十七条の五第一項に規定する事項を要件とする資格を定めなければならない。」

資格を定めるのはそれぞれの自治体の長です。ここから、実務上の大事な性質が出てきます。

  • 発注者の数だけ申請がある……県の名簿に載っても、市の名簿には載りません。入りたい発注者すべてに出します
  • 要件・書類・時期・年数は、発注者の要綱や告示で決まる……「全国共通の入札参加資格」というものはありません
  • 許可行政庁とは担当部署も違う……同じ県庁でも、建設業許可・経審は建設業の担当課、入札参加資格は契約・財務の担当課、ということが多くあります
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東京都・大阪府・神奈川県の定期受付

自治体の多くは、数年に一度まとめて受け付ける定期受付と、その間に新しく入る人のための随時受付を設けています。2026年9月時点で公表されている内容を並べます。

発注者次の資格の期間定期受付特徴
東京都令和9・10年度(2年)建設工事等は令和8年11月下旬から予定(詳細は続報)東京都電子調達システムで受付。物品の受付とは時期が別
大阪府令和9・10・11年度(3年度令和8年11月13日〜12月11日(電子申請のみ)資格の年数が東京都・神奈川県より長い
神奈川県2年(西暦奇数年の4月から)令和9・10年度分(令和9年4月1日〜令和11年3月31日)の受付時期は「今後お知らせ」(2026年9月23日時点)「かながわ電子入札共同システム」で、県・県内31市町村・広域水道企業団の33団体に一括申請

出典:東京都電子調達システム「令和9・10年度 東京都競争入札参加資格審査(定期受付)」(2026年9月23日確認)、大阪府「令和9・10・11年度建設工事競争入札等参加資格審査申請の定期受付実施について」(2026年8月7日)、かながわ電子入札共同システム「競争入札参加資格申請の概要」(https://nyusatsu.e-kanagawa.lg.jp/html/uketsuke.html。「神奈川県、県内31市町村及び県内広域水道企業団」の共同受付、名簿は2年ごと、令和9・10年度の認定期間は令和9年4月1日から令和11年3月31日まで。2026年9月23日確認)。

定期受付を逃すと、次の随時受付まで待つことに

定期受付の期間は限られています(大阪府は約1か月)。そこで出せば資格期間の最初から名簿に載れます。随時受付の有無や時期、資格の始まる日は発注者によって違うので、入りたい発注者の受付案内を、決算・経審の予定と一緒にカレンダーに入れておくのがおすすめです。

市区町村は別に確かめる

神奈川県のように共同システムで県内の多くの団体へまとめて出せる地域もあれば、市区町村ごとに個別に申請する地域もあります。東京都の区市町村や大阪府内の市町村に入りたいときは、その団体の契約担当のページを必ず見てください。

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点数の使われ方——客観点数と主観点数

入札参加資格の審査では、経審の点数がそのまま使われるとは限りません。発注者によっては、次の2つを組み合わせて等級(格付け)を決めています。

点数中身誰が決めるか
客観点数経審で審査された点数。P(総合評定値)を使う発注者があり、どう使うかは要綱で確認する建設業法の基準(全国共通)
主観点数その発注者の工事での成績、災害協定、地域貢献などを独自に評価した点発注者ごと。設けていない発注者もある

客観点数と主観点数を足した点で等級が決まり、等級ごとに受けられる工事の金額の帯が決まる、という仕組みをとる発注者があります。つまり、経審のPは最後には「どの規模の工事に入札できるか」に形を変えます。

  • 主観点数の項目・配点・有効期間は、発注者の要綱で確かめる
  • 主観点数だけ毎年度の申請が必要、という発注者もあります。資格期間の途中で申請を忘れると加点が消えることがあります
  • 等級の区切りと金額が業種ごとに違うこともあります
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経審を毎年つないでおく

入札参加資格が2年(大阪府なら3年度)有効でも、経審は毎年受け直す必要があります。理由は、契約の場面で求められるのが入札参加資格とは別の、建設業法上の条件だからです。

建設業法施行規則 第18条の2

「法第二十七条の二十三第一項の建設業者は、同項の建設工事について発注者と請負契約を締結する日の一年七月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければならない。」

経審の結果で契約できるのは、おおむね決算日(審査基準日)から1年7か月です。東京都の経審の説明書は、結果通知書の有効期限が切れると、指名競争入札の名簿に名前が載っていても公共工事の請負契約が結べないと注意しています。

期間起点長さ決めているもの
経審の結果で契約できる期間決算日(審査基準日)1年7か月建設業法施行規則(全国共通)
入札参加資格の期間発注者が決める(年度の始まりなど)東京都・神奈川県は2年、大阪府は3年度発注者の要綱

2つの期間は起点も長さも別です。決算のたびに決算変更届→経審を繰り返し、1年7か月の帯を切らさないことが、入札参加資格を生かす前提になります。数え方は 経審とは の「1年7か月の数え方」で詳しく説明しています。

入札参加資格の申請に出す経審の結果にも、条件がある

発注者によっては、申請に使う経審の審査基準日(どの決算の経審か)を指定しています。定期受付の時期に最新の決算の経審が間に合うかどうかは、決算月と経審の日数から逆算して確かめてください。

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国(地方整備局など)の入札に出るとき

国の機関が発注する工事の入札は、自治体の入札参加資格とは別の手続きです。国土交通省の地方整備局等の建設工事では、予算決算及び会計令第70条・第71条第1項にもとづく競争参加資格審査を、2年に1回の定期受付と、そのあとの随時受付で行っています。

項目地方整備局等の建設工事(令和7・8年度の手引き)
有効期間2年(令和7・8年度の資格は令和9年3月31日まで)
受付定期受付は2年に1回(前回は令和6年12月2日〜令和7年1月15日)。その後は随時受付
経審総合評定値通知書の提出が必要
点数経営事項評価点数(客観的事項)と技術評価点数(主観的事項)を合算した総合点数で格付け
申請方法インターネット方式が基本

出典:国土交通省地方整備局等『建設工事 競争参加資格審査申請書作成の手引き(令和7・8年度版)』https://www.mlit.go.jp/page/content/001846408.pdf(2026年9月23日確認)。令和9・10年度分の受付は、国土交通省の「地方整備局等 競争参加資格審査関係」のページで確かめてください。

  • 自治体の名簿に載っていても、国の資格にはなりません。逆も同じです
  • 国の工事でも、元請で契約する以上は経審が必要です(建設業法第27条の23)。1年7か月の帯を切らさないことも同じく大切です
「全省庁統一資格」は建設工事の資格とは別です

調達ポータルは、全省庁統一資格を「物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)参加者の資格」と説明しています(https://www.p-portal.go.jp/pps-web-biz/geps-chotatujoho/resources/app/html/shikaku.html、2026年9月23日確認)。建設工事で地方整備局等の入札に出るときは、上の競争参加資格審査を受けます。

国のほかの省庁や機関の工事は、それぞれの機関の公告・案内で確かめてください。このサイトでは、自治体の入札参加資格を中心に扱っています。

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会社の内容が変わったら——変更届も別

商号、所在地、代表者、役員、資本金、営業所などが変わったとき、建設業許可の変更届を出すだけでは足りません。入札参加資格の名簿のほうにも、別に変更の届出が要ります。

  • 許可行政庁への変更届(30日以内・2週間以内など)は、建設業法の手続き
  • 入札参加資格の変更届は、発注者ごとの手続き。様式・期限・出し方は発注者の要綱で決まる
  • 複数の発注者の名簿に載っていれば、それぞれに届け出る(共同システムでまとめて出せる地域もある)
許可を取り直すと「変更」では済まないことがあります

許可の更新を忘れて失効し、新しく許可を取り直すと、許可番号が変わります。発注者によっては、これを名簿の変更ではなく新しい申請として扱います。許可の更新を切らさないことが、入札参加資格を守ることにもつながります。

業種を追加したとき、事業を承継したときの扱いも発注者ごとです。先に担当部署へ問い合わせてから動いてください。

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出す前に確かめること

入札参加資格は、ほとんどの項目が発注者の決めることです。申請前に、入りたい発注者の要綱・手引きで次の点を確かめてください。

  • 申請できる人の要件(許可の業種、経審・Pの請求、社会保険の加入、納税など)
  • 定期受付と随時受付の時期、資格の有効期間
  • 申請に使う経審の審査基準日の決まり方
  • 提出書類と様式(経審の結果通知書の写しなど)
  • 納税証明書の種類(国税・都道府県税・市区町村税のどれが要るか、未納がないことの証明か)と、発行から何か月以内か
  • 等級の区切りと対応する発注金額、主観点数の有無と有効期間
  • 電子申請のシステム、紙の書類の提出の有無、電子入札に参加するための準備
  • 変更届の期限と出し方
社会保険は、経審の点からは外れても要件としては残ります

令和8年7月1日から、経審のWで社会保険の未加入を減点する項目はなくなりました。ただし社会保険への加入は建設業許可の要件で、入札参加資格の要件に挙げている発注者もあります。点がなくなっただけで、加入の必要がなくなったわけではありません。

都道府県ごとの違いは 東京・大阪・神奈川・愛知の違い にもまとめています。

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よくある質問

経審の結果通知書が届けば、すぐ入札に参加できますか。
できません。入りたい発注者の入札参加資格審査を受け、名簿に登録されてから参加できます。受付期間が決まっている発注者が多いので、経審の結果が出る時期と受付の時期を合わせて計画してください。
県の入札参加資格を取れば、県内の市町村にも入札できますか。
原則として発注者ごとの手続きなので、市町村にはそれぞれ申請が必要です。神奈川県のように、共同システムで県と多くの市町村にまとめて申請できる地域もあります。
入札参加資格が2年あるなら、経審は2年に1回でよいですか。
よくありません。経審の結果で契約できるのは決算日から1年7か月までなので、毎年の決算ごとに受け直さないと、資格の途中で契約できない期間ができます。
大阪府の資格は何年有効ですか。
建設工事の次の資格は令和9・10・11年度の3年度です。定期受付は令和8年11月13日から12月11日まで、電子申請のみと告知されています(2026年8月7日の大阪府の告知)。
東京都の令和9・10年度の受付はいつですか。
建設工事等は令和8年11月下旬からの予定と案内されています(2026年9月23日時点)。詳しい日程と手引きは、東京都電子調達システムの続報で確かめてください。
主観点数とは何ですか。
経審の点(客観点数)とは別に、発注者が自分の工事の成績や地域への貢献などを独自に評価して足す点です。有無も中身も発注者ごとなので、要綱で確かめてください。
等級(ランク・格付け)と総合点数は、どう決まりますか。
決め方は発注者ごとですが、総合点数=客観点数(経審の点)+主観点数(発注者独自の点)で等級を決め、等級ごとに入札できる工事の金額の帯を決める形が多く見られます(4の節)。等級の数、点数の境目、等級ごとの金額の帯は、発注者と業種ごとに違います。自分が出たい発注者の要綱の「等級別発注標準」などの表で確かめてください。国(地方整備局等)は、経営事項評価点数と技術評価点数を合わせた総合点数で格付けします(6の節)。
入札参加資格の有効期間が切れたら、どうなりますか。
期間が終わると、その発注者の名簿から外れ、次の資格を受けるまで入札に参加できません。有効期間の決め方は発注者ごとです(東京都・神奈川県は2年、大阪府は3年度。→3の節)。次の定期受付に申請しておけば切れ目なく続きますが、逃すと随時受付を待つことになります。経審の1年7か月が切れた場合は別の問題で、名簿に載っていても公共工事の契約が結べなくなります(5の節)。
定期受付に間に合いませんでした。追加で申請(随時申請)できますか。業種も追加できますか。
随時受付を設けている発注者なら申請できます。有無・時期・資格の始まる日は発注者ごとです。業種を増やしたいときも随時申請で扱う発注者があります。国の地方整備局等も、2年に1回の定期受付のあとは随時受付をしています(6の節)。
会社を承継(事業譲渡・合併・相続)したら、入札参加資格はどうなりますか。
建設業法では、事前に許可行政庁の認可を受けた譲渡・合併・分割なら、承継した側が建設業者としての地位を引き継ぎます(法17条の2)。相続は、死亡後30日以内に認可を申請します(法17条の3)。入札参加資格をどう扱うかは発注者が決めます。発注者によっては、認可を受けた承継なら資格の承継を申請でき、認可を受けない承継では引き継げず新規申請になる、という扱いをしています。承継の前に、許可行政庁と入札の担当部署の両方に相談してください。
指名停止と営業停止は、同じものですか。
違います。指示処分・営業停止・許可の取消しは、許可行政庁が建設業法にもとづいて行う監督処分です(法28条・29条)。指名停止・入札参加停止は、発注者が自分の入札について行う措置で、大阪府の経審の手引きも、その実施は発注機関によって違うと書いています。経審のW「法令遵守の状況」は、審査対象年に法28条の指示処分や営業停止処分を受けたかどうかで減点する項目で、大阪府は同じ手引きのQ&Aで、指名停止を受けただけでは減点にならないと答えています。

入札参加資格の申請は発注者ごとに書類が多くなりがちです。複数の発注者に出す場合は、行政書士に相談するのも一つの方法です。